コラム

秘密計算とブロックチェーンの違い

秘密計算

目次

さまざまな企業によるデータの蓄積・活用が進められる中、セキュリティの観点から注目を集めている「秘密計算」と「ブロックチェーン」。これら二つは混同されやすいものですが、本来は全く異なる目的を持って生み出された“別の技術”です。

今回は秘密計算とブロックチェーンの違いについて、その概要や誕生背景、活用シーンの観点から詳しく解説します。

秘密計算とブロックチェーンの違い

両者の違いを知るために、まずは「秘密計算」と「ブロックチェーン」それぞれの仕組みと誕生背景からご紹介します。

秘密計算とは


秘密計算とは、暗号化した状態で機密なデータを計算できる技術のことです。

従来の暗号はデータの通信・保管時にのみ暗号化を行うことでデータを保護する仕組みになっています。解析等のデータ処理をおこなう時は、一度暗号を解いて元の状態に戻さなければならず、処理中のセキュリティが脆弱になるリスクがありました。

秘密計算技術を使えば、通信・保管時だけでなくAIの学習時もデータを暗号化したままで処理できるため、データ漏えいや不正利用のリスクの回避につながり、元のデータを解析するのと変わらない精度で解析が行なえるため、データ利活用の可能性が広がります。

実際に秘密計算は、医療診断データをはじめとした機密性の高いデータを分析し活用する場面や、グループ会社や外部との協力会社のような異なる組織間でデータを開示せずに統合・分析しなければならない場面で活用されはじめています。

以下の記事にて秘密計算について仕組みや活用事例まで詳しく紹介しています。秘密計算について知りたい方はぜひご覧ください。

※「秘密計算とは。仕組みや手法、国内外のトレンドを解説」
https://www.eaglys.co.jp/news/column/secure-computing/international-trends


ブロックチェーンとは


ブロックチェーンとは、データベース技術の一つで「ブロック」に分けたデータを鎖(チェーン)のように連結する技術です。ブロックチェーンは、ブロックにわけたデータを複数人で管理しデータの取引情報も共有します。不正な取引があった場合も過去にさかのぼって取引を参照できるため、データの改ざんを防ぎ、透明性のある取引が可能です。

これまで取引情報の多くは管理者が信頼性を担保する「中央集権型」の仕組みになっていました。データの一括管理による取引の柔軟さやスピード感といったメリットもありますが、一方で中央のコンピュータがダウンするとシステム全体が停止する恐れがあったり、管理者によるデータの改ざんや削除が考えられる等、取引の信頼性自体を失いかねない懸念があります。

ブロックチェーンは、取引データを分散させ、複数人で管理する仕組みです。不特定多数の参加者が取引の履歴データを記録し続けることで、データの改ざんや削除を許さず、システムダウンのリスクも回避されます。このような特性からブロックチェーンは、仮想通貨をはじめとした金融領域や不動産領域のような高い信用度が求められる取引の場で活用されています。


秘密計算とブロックチェーンの違い


このように、秘密計算とブロックチェーンはセキュリティに配慮したデータ活用に使われる点で似通っていますが、その活用方法の面で違いがあります。


秘密計算

ブロックチェーン

特徴

データを暗号化したまま計算することで、解析中の情報漏えいや不正利用を防ぐ

取引データを複数人で管理し、取引の透明性を担保する

実用性


・分析の過程で一度も暗号化を解く必要がないため、情報漏えいや不正利用のリスクを回避できる

・機密データの中身を開示する必要がないため、異なる組織間でのデータの連携・分析に活用できる

・複数人で管理することによりデータ改ざんやシステムダウン等のリスクを回避できる

・書き換え不可の公明な取引記録を残せるため、取引の信頼性を担保できる

主な手法

準同型暗号方式:鍵を用いて暗号化することでデータの秘匿性を担保する手法

秘密分散方式:データを分割し処理空間を分けることでデータの秘匿性を担保する手法

パブリックチェーン:誰でも許可なく参加できる、管理者が存在しないブロックチェーン

プライベートチェーン:参加には管理者の承認が必要な、参加者を限定するブロックチェーン


秘密計算とブロックチェーンの現状

データを暗号化したまま計算する「秘密計算」と、データのやりとりを分散管理する「ブロックチェーン」。

続いて具体的な活用シーンを中心に、それぞれの技術の“今”を見ていきます。


複数組織間でのデータ連携に使用される秘密計算


データ分析時の情報漏えいや不正利用を防ぐ秘密計算。機密なデータの分析や複数社(もしくは複数組織間)でのデータ連携をおこなう際、重要な役割を担っています。

たとえば交通業界では乗降データや購買データは個人情報と密接に関わるため情報漏えいに対しての懸念が大きく、グループ企業間でも連携が進みにくい特徴があります。

秘密計算なら暗号化したままの状態でデータを処理できるため、データの流出を防ぎつつ、関係者が「データの中身を見ずに処理」を行えます。

つまり、複数の組織間でも外部に開示できないデータを持ち寄った、より高度かつ安心のデータ連携・活用が実現するのです。また、グループ内の他の組織に眠るデータの連携も進めることで、新たなマーケティング施策の立案やMaaS時代のデータエコノミーにも活用できます。

データ利活用やセキュリティ対策ニーズが高まるにつれ、幅広い業界・業種で秘密計算の研究や実用に向けた実験に取り組まれています。今後はますますユーザーの活用領域が広がり、市場規模としても拡大が見込まれます。

※EAGLYSの交通業におけるユースケース紹介はこちら
https://www.eaglys.co.jp/use-case/transportation


NFTに使用されるブロックチェーン


取引データの管理における透明性を担保するために生み出されたブロックチェーン。仮想通貨や金融取引への活用だけでなく、食品のトレーサビリティ、医療サービスなど幅広い領域で活用されています。

昨今話題となっている「NFT(Non Fungible Token)」も、その活用事例の一つとして挙げられます。NFTは、名前にNon-Fungible Token(非代替のトークン)とある通り、ブロックチェーンを用いてトークンとよばれる「しるし」を発行します。これらのトークンには異なる番号を付与し、1つひとつを別物として管理するため、デジタルデータの価値を証明します。

NFTによって、作成者が二次使用で収益を得たり取引したりといったことが可能になるため、これまでコピーや拡散が容易だったデジタルデータを資産として扱えるようになります。

現在は、利用者の保護に向けた規制整備や政府による推進活動といった国内外でブロックチェーンの実用に向けた取り組みが進められています。今後はAIやIoT等最新の技術との掛け合わせによる活用も進められていくと考えられます。


まとめ

秘密計算とは、データを秘匿化したまま計算処理を行う仕組みのこと。機密性の高いデータの分析や、安全性を保ったまま複数組織間でのデータ連携・分析ができ、商品開発や高精度な需要予測等に活用されています。

対してブロックチェーンとは、データベース技術の一つで「ブロック」に分けたデータを鎖(チェーン)のように連結する技術のこと。データの改ざん・削除といった不正やシステムダウンのリスクを回避できる特性を活かし、仮想通貨やNFTをはじめとした幅広い領域で活用されています。

EAGLYSは、秘密計算を中心としたデータセキュリティ技術によって、データを秘匿したままでのセキュアな連携・分析を支援しています。

データ利活用を推進するなかで「個人情報を含む機密データをビジネスに活かしたい」「異なる組織間で連携してデータ不足を補いたいが、セキュリティの懸念がある」といった課題をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

EAGLYSへのお問い合わせは下記フォームから

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