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教師データとは?|作り方や学習データとの違い・教師あり学習と教師なし学習の違いも解説

教師データとはAIに学習させるために必要なデータのことです。データの量や質によって、AIが導き出す判断や予測の正確さが決まります。AIを活用した業務の効率化や需要予測などを行う際に教師データは必要不可欠です。この記事では、教師データの概要や作り方、データを集めるコツについて解説します。AI導入によるコスト削減や生産性向上を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

教師データとは

教師データとは機械学習に利用するデータのことで、それぞれの例題に対応した正解が用意されているデータのことを指します。AIに学習させる際には、例題に対して正解を出力させるための訓練を行う「教師あり学習」を行う場合があり、その際に教師データが必要になります。例題と正解を繰り返しAIに学習させるとルールやパターンを把握することができるようになり、新しいデータの正誤にも対応できるようになります。

教師データと学習データの違い

「学習データ」に対応する正解をつけたものを「教師データ」と呼びます。教師データは、学習データを多数与えることによって参考となるデータ数が増えるため、より回答を出しやすくなります。また、学習データに対応する正解があるかないかで機械学習の方法が異なります。

機械学習の3つのパターン

機械学習とは、自ら学習を行ってルールやパターンを見つけ出す技術です。ここでは機械学習の3つのパターンについて解説します。

教師あり学習


教師あり学習とは、教師データをもとに学習する機械学習のことです。例題に対応した正解で構成されている教師データを大量に学習することで、新しいデータにも対応できるようになります。新しいデータが入力されると、まずAIのアルゴリズムが教師データに対して予測を行います。予測を行った結果を、正解となるデータと照合していくことによって予測結果を修正していきます。

教師なし学習


教師なし学習とは、学習データに対応する正解を与えない状態で学習させる手法のことです。正解となるデータがないため、株価予測・気象分析に利用される回帰や、植物・動物のカテゴライズに利用される分類などには不向きです。

教師なし学習は、クラスタリングやGAN(敵対的生成ネットワーク)などに使われます。クラスタリングとは、データ間の類似度をもとにしてデータをグループ分けする手法です。GANとは、判定者(Discriminator)が入力されたデータを分析し、教師データであるか、生成者(Generator)が生成した画像であるかを判定する手法のことを指します。

強化学習


強化学習とは、AIが能動的に学習を行う機械学習です。報酬を獲得するために「価値を最大化させる行動」が何であるかを試行錯誤することで学習していきます。自身の行動を改善しながら学習を行うため、より人間に近い学習モデルになります。

教師データの作り方

教師データを作る際には課題設定やデータの集め方が重要です。ここでは画像認識を例に、教師データの作り方について解説します。

課題を明確にする


まず、機械学習プロジェクトの課題を明確化させることから始めます。機械学習を導入する目的、その目的を達成するためにはどのようなモデルを構築すれば良いか、機械学習の導入によってどのような問題を解決するかなどを決める必要があります。自動化による業務の効率化や需要予測による商品の効率的な仕入れなど、業務上の課題を明確にすることが大切です。

データを集める


次に、設定した課題を達成するために学習に必要なデータを集めます。教師データは機械学習に大きな影響を与えるため、データの量と質どちらにも注意が必要です。データの量が足りないと新たなデータを予測することができないモデルになってしまいます。この状態は「オーバーフィッティング」と呼ばれています。

例えば画像認識を行う場合は、教師データとして画像データを用意する必要があります。また、機械学習の精度を高めるには質の高いデータを集めることも重要です。

データにアノテーションを付与する


データを収集した後、アノテーションを付与する作業に入ります。アノテーションとはデータに注釈を付けて教師データを作成する作業のことです。

画像認識の場合は、画像データを教師データとして収集します。画像データに注釈をつけることで、AIは画像に何が含まれているのかを識別することができるようになります。また、AI開発の目的で利用する場合、画像データの著作権は一定条件のもとで利用が可能です。

教師データに必要な量と質は?

教師データは、データの量と質どちらもが学習に大きな影響を及ぼします。ここでは教師データに必要な量と質について解説します。

教師データの量


教師データに必要な量はプロジェクトの目的や目標によって異なります。そのため、学習を行う前に教師データの量を人間が調整する必要があります。AIに学習させた後は、データ量の過不足をテストします。データが足りない場合は他のデータを追加して再度テストを行いますが、データ量を増やしすぎると機械学習の精度が落ちる「過学習」になるため注意が必要です。

教師データの質


高品質な教師データは、偏りのないデータとばらつきのないアノテーションの両方が揃って初めて成立します。教師データの質がを高めることによって、予測や分析の精度をが向上します。また、画像が撮影された場所や時間など様々な条件からデータを集めることで、より質の高いデータになります。

教師データを効率よく集めるコツ

教師データを効率よく集めるには、社内のデータを活用することや外部からもデータを収集することが必要です。ここではデータ収集のコツを解説します。

動画や社内のデータを活用する


動画や社内のデータを活用することで、効率よく画像データを収集できます。動画は画像が連続したデータの集まりであるため、30分の動画から約5万4,000枚の画像データを収集することが可能です。また、社内の顧客データや売り上げデータなども活用し、より質の高いデータをAIに学習させることが重要です。

作業のルールを統一する


教師データの品質を整えるには、作業ルールの統一化が必要不可欠です。作業を開始する前に具体的な作業ガイドラインを作成し、チーム全員で共有します。ガイドラインに沿ってデータを集めることによって、収集するための時間の短縮や作業効率の向上につながります。アノテーションには注意深さや根気強さが必要になるため、チームの特性に合わせたマネジメント体制を構築することが重要です。

外部からデータを収集する

自社のデータが足りない場合やデータを持っていない場合は、外部から収集を行います。しかし、データの量をやみくもに増やすこと、質の低いデータを収集することなどは学習制度の低下につながってしまいます。データ収集の時間や労力を削減するためには、AIの学習データを提供するサービスを利用することも有効です。

まとめ

近年、業務の効率化などを目指してAIを導入する企業が増えてきています。AIを活用する際には教師データなどのデータを学習させる必要があります。教師データとは機械学習に利用するデータのことで、教師あり学習に用いられます。学習に必要な質の高いデータを集めるためには、作業ルールの統一化やAI学習データを提供するサービスの利用が有効です。

データ収集に関する専門知識を持った人材がいない場合や、業務で利用するデータが不足しておりデータを増やしたいとお考えの方は、EAGLYSのAI解析サービスの利用がおすすめです。ぜひお問い合わせください。

 

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